愛知県庁は中途採用を熱心に行っている数少ない自治体です。
通常、自治体が行う経験者採用は年1回しか行われませんが、なんと愛知県庁は年2回行っています(4月募集と7月募集)。
しかも!同じ年に2回とも受験できます!チャンス2倍です!
もともと日本トップレベルに優良な県庁というだけあって、人気が高いのですが、特に中途採用の方に手厚い試験になっているのが嬉しいです。
ところが、いざ経験者枠を受験しようと思っても「何をしたらいいのか分からない!」
というのがホンネだと思います。
わたしも民間から公務員に転職した身ですが、中途試験はとにかく情報が少なくて苦労しました・・・
そこでこの記事は、付け焼き刃ではなく盤石な対策で臨めるように愛知県庁の経験者採用の内容と対策について徹底解説します!
これを読めば他の受験者と大差をつけることができます。
※ちなみに愛知県庁では「社会人を対象とした職員採用試験」もありますが、こちらは主に高卒者と氷河期世代向けの試験です。ですので、この記事で紹介する「経験者採用」のほうが給料や待遇が圧倒的に高いです。
愛知県庁経験者採用の受験資格は非常にシンプル
愛知県庁の経験者採用は満たすべき受験資格は年齢制限と職務経験です。※「禁錮中ではない」など当たり前の要件は除く
一部区分では資格も必要です。
年齢制限
試験が実施される年の4月1日現在で59歳未満の人が対象です。
これはすべての区分(行政、ICT、司書、薬剤師、電気、機械、化学、農学、畜産、林学、農業土木、土木、建築)で同じです。
職務経験
民間企業等における3年以上の職務経験が必要です。
常勤で6か月以上継続して就業していた期間が該当します。
つまり連続3年間勤務した経験である必要はなく、6か月以上の経験を合算して3年以上ならOKです!
これもすべての区分(行政、ICT、司書、薬剤師、電気、機械、化学、農学、畜産、林学、農業土木、土木、建築)で同じです。
資格・免許
次の試験区分を受験する方は、資格・免許が必要です。
これ以外の、行政(一般的な公務員)、ICT、機械、化学、農学、畜産、林学、農業土木、土木は資格がいりません。
司書
図書館法第5条第1項各号のいずれかに該当する司書の資格
薬剤師
薬剤師法に基づく薬剤師免許
電気
次のいずれか1つ以上
- 電気事業法に基づく第一種電気主任技術者免状
- 第二種電気主任技術者免状
- 第三種電気主任技術者免状
建築
建築士法に基づく一級建築士試験に合格
愛知県庁経験者採用の試験スケジュール
愛知県庁の経験者採用は4月と7月の年2回行われます。
後ほど詳しく説明しますが、4月も7月も採用予定人数は同じです
ですので、どちらが受かりやすい、ということはないので可能ならば両方ともチャレンジするのがベターです!
それぞれのスケジュールを見てみましょう!
4月募集のスケジュール
令和6年度のスケジュールを参考に見てみましょう。
- 3/26受験案内公開
- 3/27~4/19受験申込期間
- インターネット申込
- 5/191次試験
試験(事務職) 時間 教養(択一式) 120分 論文 90分 - 6/141次試験合格発表
- 7/152次試験
適性試験 面接 - 8/1最終合格発表
7月募集のスケジュール
続いて、7月募集のスケジュールをみてみましょう。
7月に選考案内が始まり、11月に最終合格発表が出されます。
短期決戦です!
令和6年度のスケジュールを基に採用内定までの流れを見ていきましょう。
- 7/2受験案内公開
- 8/1~13受験申込期間
- インターネット申込
- 9/221次試験
試験(事務職) 時間 教養(択一式) 150分 論文 90分 - 10/161次試験合格発表
- 10/272次試験
試験(事務職) 時間 内容 適性試験 – 簡易試験 面接 – 個別面接 - 11/14最終合格発表
愛知県庁経験者採用の倍率
愛知県庁は人気の自治体ですが比較的、倍率は低めです。
さらに実際は、対策なしでぶっつけ本番の人や記念受験が多いため、実質倍率はかなり低いです。
年度 | 2024 | 2023 | 2022 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
月 | 4月 | 7月 | 4月 | 7月 | 4月 | 7月 |
行政 | 22.2 | 6.2 | 23.7 | 29.7 | 27.9 | 23.3 |
ICT | 16.0 | – | 19.0 | 18.0 | 25.0 | – |
司書 | 17.0 | – | 12.0 | – | 17.0 | – |
薬剤師 | – | – | 9.0 | – | 4.0 | 4.5 |
電気 | – | 1.0 | 2.0 | 2.0 | 6.0 | – |
機械 | 8.0 | 5.0 | 6.0 | 7.0 | – | – |
化学 | 9.0 | 3.0 | 15.0 | 6.0 | 8.0 | 16.0 |
農学 | 5.0 | 7.0 | 10.0 | 6.0 | 3.8 | 10.0 |
林学 | 2.0 | – | – | – | 5.0 | 3.0 |
農業土木 | – | 2.0 | – | 3.0 | – | 2.0 |
土木 | 1.8 | 1.3 | 3.8 | 2.7 | 3.2 | 2.4 |
建築 | 2.0 | 1.5 | 2.0 | 1.7 | 5.0 | 2.0 |
※ハイフンは採用者なしだった職種です。
全体的に倍率がかなり下がってきていますので、チャレンジするなら非常にタイミングが良いです。
特に2024年7月の「行政」採用の倍率はなんとたったの6.2!
わたしは愛知県庁の経験者採用を昔から見てきましたが、これは驚きでした!
なぜこんなに低倍率になったのかというと、採用予定人数の倍以上の人を採用したからです。
つまり採用予定人数は気にせず、いい人がいたら採用する!というのが愛知県庁のスタンスです!
愛知県庁経験者採用1次試験の傾向と対策
第1次試験の内容は次の通りです。
【4月募集】
試験(事務職) | 時間 | 内容 |
---|---|---|
教養(択一式) | 120分 | 40題 |
論文 | 90分 | 職務経験 |
【7月募集】
試験(事務職) | 時間 | 内容 |
---|---|---|
教養(択一式) | 150分 | 50題 |
論文 | 90分 | 職務経験 |
4月募集の方が教養の問題数が少ない代わりに試験時間も短いです。
難易度はどちらもほぼ同じです。
それぞれの傾向と対策を見ていきましょう。
教養試験
一般的な公務員試験とほとんど変わらないスタンダードな内容ですので難易度は低めです。
したがって、 地方初級(高卒程度)もしくは地方上級(大卒程度) の過去問集を使って対策するのがいいでしょう。
公務員試験は、過去問や他の試験区分から問題を借りてくることが非常に多いので、過去問対策が最強の対策になります。
おすすめは定番の「過去問350」もしくは「過去問500」です。
基本的には「過去問350」で十分ですが、万全を期すのであれば「過去問500」までやってもOKです。
もし「過去問500」をやる場合は、難問が多いので深追いしないよう注意してください。
まずは過去問を解いて感覚をつかみ、その上で参考書で補強する流れが鉄板です。
いずれの科目もそこまで難易度は高くないので、参考書は1科目につき1冊で十分です。
ちなみに参考書は必ず本屋で現物をめくりながら選んでください。
公務員試験は参考書によって「合う」「合わない」がとても大きいので、現物をみることが重要です。
私は最初、Amazonで高評価だった参考書を買って勉強していましたが、どうも合わなくて結局、本屋で中身を見ながら選んだ参考書に乗り換えました。
結果、スラスラと理解できるようになり、試験でもいい点数を取ることができました。
ですので、ネットのレビューや評価ではなく、自分の目で確かめることが重要です。
合わない参考書を使うのは、時間の無駄ですからね!
まずは過去問を解いて感覚をつかみ、その上で参考書で補強する流れが良いでしょう。
論文
経験者採用の山場が論文です。
与えられたテーマについて、あなたの経験をどのように生かすことができるのか論じます。
例題は以下の通りです。
【2023年度】
4月募集
これまでの職務経験において、あなたが行った業務改善を一つ挙げ、その際、どのように創意工夫したか述べよ。(1,000字/1時間30分)
出典:愛知県職員採用情報 試験問題の例題(https://www.pref.aichi.jp/jinji/syokuin/examination/reidai.html)
7月募集
これまでの職務経験の中で、他者から学んだことを一つ挙げ、そこから自身の成長につながったと考える理由を具体的に述べよ。(1,000字/1時間30分)
出典:愛知県職員採用情報 試験問題の例題(https://www.pref.aichi.jp/jinji/syokuin/examination/reidai.html)
【2022年度】
4月募集
これまでの職務経験において、組織の活性化に貢献できたと思うことを一つ挙げ、それを県組織の活性化にどのように生かしていくことができるか述べよ。(1,000字/1時間30分)
出典:愛知県職員採用情報 試験問題の例題(https://www.pref.aichi.jp/jinji/syokuin/examination/reidai.html)
7月募集
最も苦労して達成できた職務経験を一つ挙げ、その際、苦労したことをどのようにして乗り越えたか述べよ。(1,000字/1時間30分)
出典:愛知県職員採用情報 試験問題の例題(https://www.pref.aichi.jp/jinji/syokuin/examination/reidai.html)
【2021年度】
4月募集
あなたが前例のない困難な課題に直面したとき、どのように対処してきたか。また、その経験を県行政にどのように生かしていくことができるか述べよ。(1,000字/1時間30分)
出典:愛知県職員採用情報 試験問題の例題(https://www.pref.aichi.jp/jinji/syokuin/examination/reidai.html)
7月募集
あなたがこれまでの職務経験で培った強みを一つ挙げ、それを県の抱える課題解決にどのように生かすことができるか述べよ。(1,000字/1時間30分)
出典:愛知県職員採用情報 試験問題の例題(https://www.pref.aichi.jp/jinji/syokuin/examination/reidai.html)
4月募集と7月募集で出題が異なりますが、難易度は同じです。
例年、あなたの経験を県政にどう生かせるのかを述べるよう求められています。
職務経験の表現、県政が求めるスキルなどを簡潔かつ明快に書き上げる必要があります。
一見難しそうですが、中途採用は他の受験者の記述レベルがそこまで高くないので、「落ちない」文章を書ければ大成功です。
では、どうすればいいのかというと、過去問と解答をインプットしまくる。これに尽きます。
「過去問を制する者が、試験を制する」というのが公務員試験の鉄則なので、過去問と解答をかき集めるのが合格への近道です。
わたしが経験者採用に合格できたのは、とにかく過去問と解答を読みまくって本番慣れしてたからだと思います。
過去問と解答を見れば、書き方の「リズム」が染みつくので、本番でも「ああ、こうやって書けばいいんだな」とスラスラと解答できるようになります。
記述問題は試験本番のコンディションに左右されて不安定になりがちですが、過去問の解答で「リズム」をバッチリ身に着けることで安定して書けるようになりますよ!
愛知県庁の詳しい論文対策はこちらが参考になりましたので、必ず読んでくださいね。
愛知県庁経験者採用2次試験の傾向と対策
2次試験の内容は以下の通りです。
試験(事務職) | 時間 | 内容 |
---|---|---|
適性試験 | – | 簡易試験 |
面接 | – | 個別面接 |
それぞれの傾向と対策を見ていきましょう。
適性試験
適性試験は公務員試験でほぼ確実に課されるペーパー試験です。
性格診断のような設問が何十問かあります。
この適性試験には点数がつかないので、直接合否にかかわる試験ではありません。
しかしながら、公務員像から外るような回答をしてしまうのは当然、避けたほうが無難です。
とくに対策はいりません!
個別面接
主として職務経験及び人物について問われます。
職務経験についての確認がされますので、自身の経験について詳細かつ分かりやすく伝える練習をしておくと良いでしょう。
面接の秘訣
さて、重要な面接ですが攻略の秘訣があります。
それは、あなたが「愛知県庁が求める職員像」と合致していることをアピールすることです。
求める職員像と合致している人材を採用しないわけがありませんよね?
「求める職員像」は知っているだけで切り札になるほど重要な情報なのに、社会人採用試験の場合、ほとんどの受験者は把握していません。
したがって、これを知っているだけで多くの受験者を軽々追い抜くことができます。
愛知県庁が求める職員像は次の通りです。
こんなに大事なことを大半の受験者は見落としていると思います笑
これらは非常に重要なので、必ず覚えておいてください。
暗唱できるレベルまで染みつけば面接は勝ったも同然です。
面接では上記の能力を発揮した経験を述べることで「求められる職員像」ということをアピールできるので大きな評価に繋がります。
すべての回答で上記を意識してください。
求められる職員像から逆算して面接を組み立てるのは公務員試験の定石ですので、ぜひともここで学んだ内容を活かしてライバルを追い抜いてください!
予備校に通う必要はあるか?
結論から言うと、予備校は必要ありません。
実際に、中途採用に合格した私の友人や知り合いの中で、予備校に通っていた人はいません。
理由としては、「予備校よりも優れた教材が市販されている」こと、「仕事をしながら予備校に通うのは時間の無駄」であることが挙げられます。
予備校はどうしても自社オリジナルのテキストを使わなければなりませんが、昨今は書籍やnoteなど市販の教材のほうがクオリティが高いです。
また、中途採用は仕事をしながら勉強することが多いと思いますので、わざわざ予備校に通って授業を受けるのは非常に手間です。
予備校のメリットである「わからないことを聞ける」というのも、今ではインターネットで調べればほとんど解決します。
かく言う私も予備校に通わず合格できましたので、自信をもって予備校はいらないと断言できます。
(あと、あまり大きな声では言えませんが、経験者採用の予備校は教材のクオリティがあまりにも低いです。。)
愛知県庁経験者採用のまとめ
愛知県庁は豊かな自治体ということもあり、社会的信用が高く、生涯にわたって安定した生活ができます。
この記事で少しでも論文や面接のコツを掴めたのならば、それだけで大きなリードです。
自身を持っておすすめできるので、ぜひトライしてみてください!
最後に、合格まで王道パターンをまとめます。
- 教養試験は「過去問350」(余裕があれば「過去問500」)を解いて感覚をつかみ、市販の参考書で補強する
- 論文試験は「過去問と解答集」で型を身に着ける
- 面接試験は「求められる職員像」をインプットして臨む
自信を持っておすすめできる自治体なので、ぜひトライしてみてください!
それでは、あなたの合格と幸せな未来を願っています!