公務員の社会人採用のなかでも、川崎市は非常に対策しやすい試験です。
ところが、いざ社会人枠を受験しようと思っても「何をしたらいいのか分からない!」
というのがホンネだと思います。
私も民間企業から公務員に転職した身ですが、社会人枠はとにかく情報が少なくて苦労しました・・・
そこでこの記事は、付け焼き刃ではなく盤石な対策で臨めるように「川崎市民間企業等職務経験者」の内容と対策について徹底解説します!
これを読めば他の受験者と大差をつけることができると思います。
※薬剤師免許が必要な「薬剤師職区分」は割愛させて頂きます。
川崎市役所経験者採用の受験資格は非常にシンプル
中途採用は何かと条件が厳しいことが多いですが、川崎市の経験者採用は満たすべき受験資格が年齢制限と職務経験のみです。※「禁錮中ではない」など当たり前の要件は除く
年齢制限
試験の実施される年の4月1日現在で満29歳以上59歳未満の人が対象です。
これは薬剤師、保健師以外のすべての区分(行政事務、社会福祉、土木、電気、機械、建築)で共通です。
職務経験
直近7年中5年以上の職務経験が必要です。
職務経験には、会社員や公務員等として週当たり 30 時間程度の勤務を1年以上継続した期間がカウントされます。
つまり、連続5年間勤務した経験である必要はなく1年以上の経験を合算して5年以上ならOKです!
また、正規・非正規などの雇用形態は問いません。ただし、休業期間(育児休業、介護休業等)は、職務経験期間に含めることはできませんのでご注意ください。
求められる職務経験の内容ですが、区分(行政事務、社会福祉、土木、電気、機械、建築)によって要件が異なります。
行政事務
次のどちらかの経験を有する人が対象です。
・民間企業等における職務経験が直近 7 年中 5 年以上ある人
・青年海外協力隊等としての海外における国際貢献活動経験が直近 7 年中継続して 2 年以上ある人
行政事務の場合は職務経験に縛りは無く、どんな職業でもOKです。
社会福祉
社会福祉士又は精神保健福祉士の資格を登録しており、次のどちらかの経験を有する人が対象です。
・社会福祉施設等における相談業務等の職務経験が直近 7 年中 5 年以上ある人
・青年海外協力隊等としての海外の社会福祉施設等における相談等の国際貢献活動経験が直近7 年中継続して 2 年以上ある人
土木、電気、機械、 建築
次のどちらかの経験を有する人が対象です。
・民間企業等における各試験区分に関連した実務経験(設計、施工監理等)が直近 7 年中 5 年以上ある人
・青年海外協力隊等としての各試験区分の主な職務概要に関連した海外における国際貢献活動経
験が直近 7 年中継続して 2 年以上ある人
初任給
初任給は学歴、職務経験年数に応じて変動します。
目安として以下の通り示されています。
経歴 | 初任給 |
---|---|
大卒、職務経験7年 | 261,200 円程度 |
大卒、職務経験12年 | 292,700 円程度 |
大卒、職務経験17年 | 318,100 円程度 |
この他にも、期末・勤勉手当(4.3月分)が支給されます。
また、支給要件に該当する方には、通勤手当(1箇月当たり最高55,000 円)、扶養手当、住居手当(1箇月あたり最高 25,200 円)等の諸手当が支給されます。
川崎市役所経験者採用の試験スケジュール
例年、7月に選考案内が始まり、12月に最終合格発表が出されます。
約半年の決戦です!
令和5年度のスケジュールを基に採用内定までの流れを見ていきましょう。
なお、毎年ほとんどスケジュールに変更は無いので、ほぼ同じ日程だと考えてもらってOKです!
- 7/19受験案内公開
- 7/19~8/15受験申込期間
- インターネット申込
- 最終日は午後5時まで受信有効なので注意!
- 10/151次試験
試験(事務職) 時間 内容 教養(択一式) 120分 40題必須回答 経験論文 80分 1,000~1,200字 ※ただし、1次試験の合否は教養のみで行われる。論文は2次試験の合否に使われる。
- 11/5面談試験(行政事務のみ)
机を挟んだ対話形式(2対1)の個別面談を行い、人物的な側面、仕事に対する意欲・適性、コミュニケーション能力などを評価します。
- 行政以外 10/26
行政 11/161次試験合格発表 - 11/25 or 262次試験
個別面接(3 対 1)を行い、人物的な側面、仕事に対する意欲・適性、コミュニケーション能力などを評価します。
- 12/14最終合格発表
川崎市役所民間企業等経験者(行政事務)の倍率
川崎市は人気の自治体なので、倍率はやや高めです。
しかし実際は、対策なしでぶっつけ本番の人や記念受験が多いため、実質倍率はかなり低いようです。
さらに、令和4年度からは採用人数が一気に増えましたので倍率もグッと下がりました!
今後もこの傾向は続くと思われますので、大チャンスです!
年度 | 令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | 令和元年度 |
---|---|---|---|---|
行政事務 | 15.7 | 31.8 | 38.8 | 17.5 |
社会福祉 | 2.0 | 1.9 | 3.1 | 2.9 |
土木 | 2.1 | 6.0 | 2.0 | 2.4 |
電気 | 1.6 | 1.6 | 2.4 | 1.5 |
機械 | 3.3 | 2.4 | 2.7 | 4.4 |
建築 | 2.0 | 2.2 | 3.0 | 2.6 |
川崎市役所経験者採用1次試験の傾向と対策
第1次試験の内容は次の通りです。
試験 | 内容 | 時間 |
---|---|---|
教養 | 択一式40問 | 120分 |
論文 | 経験論文 | 60分 |
面談(行政事務のみ) | 2対1の個別面談 | 20分 |
注意したいのが、1次試験の合否には論文は関係ない点です。
1次試験で論文は書かせますが、論文の成績は2次試験の合否に使われます。
筆記試験はまとめて1次試験の会場で終わらせてしまいたいという、川崎市側の都合です。
とはいえ受験者からするとそんなのは関係なく、当日までに教養も論文もどちらも仕上げておく必要があります。
では、それぞれの傾向と対策を見ていきましょう。
教養試験
一般的な公務員試験とほとんど変わらないスタンダードな内容ですので難易度は低めです。
したがって、 地方初級(高卒程度)もしくは地方上級(大卒程度) の過去問集を使って対策するのがいいでしょう。
公務員試験は、過去問や他の試験区分から問題を借りてくることが非常に多いので、過去問対策が最強の対策になります。
おすすめは定番の「過去問350」もしくは「過去問500」です。
基本的には「過去問350」で十分ですが、万全を期すのであれば「過去問500」までやってもOKです。
もし「過去問500」をやる場合は、難問が多いので深追いしないよう注意してください。
まずは過去問を解いて感覚をつかみ、その上で参考書で補強する流れが鉄板です。
いずれの科目もそこまで難易度は高くないので、参考書は1科目につき1冊で十分です。
ちなみに参考書は必ず本屋で現物をめくりながら選んでください。
公務員試験は参考書によって「合う」「合わない」がとても大きいので、現物をみることが重要です。
私は最初、Amazonで高評価だった参考書を買って勉強していましたが、どうも合わなくて結局、本屋で中身を見ながら選んだ参考書に乗り換えました。
結果、スラスラと理解できるようになり、試験でもいい点数を取ることができました。
ですので、ネットのレビューや評価ではなく、自分の目で確かめることが重要です。
合わない参考書を使うのは、時間の無駄ですからね!
論文
与えられたテーマについて、あなたの経験をどのように生かすことができるのか1,000字~1,200字で論じます。
過去の出題文は以下の通りです。
【令和4年度】
川崎市では、「SDGs未来都市」として、SDGs(持続可能な開発目標)によるまちづくりを進めています。
川崎市経験小論文試験過去の課題(https://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/61-1-26-9-0-0-0-0-0-0.html)
誰一人取り残さない、持続可能な社会の実現に向けて、活用できるあなたの職務経験(※)を、具体的な事例を挙げたうえで、事実に即して述べるとともに、その職務経験を活かし、あなたがどのように川崎市に貢献できるのか、併せて述べてください。
(※)平成27年7月以降の職務経験ついて述べてください。
【令和3年度】
川崎市では現在「川崎市総合計画第3期実施計画」の策定を進めています。実施計画の策定にあたり、「将来を見据えて乗り越えなければならない課題」の整理を行っているところですが、あなたが考える、川崎市が「将来を見据えて乗り越えなければならない課題」を1つ挙げた上で、その課題を解決するために、あなたのこれまでの職務経験(※)をどのように活用できるか、あなたのこれまでの具体的な仕事ぶりや組織の中でどのような役割を果たしてきたかが伝わるように述べるとともに、課題解決策について併せて述べてください。
川崎市経験小論文試験過去の課題(https://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/61-1-26-9-0-0-0-0-0-0.html)
【令和2年度】
川崎市では、誰もが個人としての自立と尊厳を保ちながら、住み慣れた地域や自らが望む場で、安心してすこやかに生き生きと暮らせるまちづくりを進めています。
このまちづくりを推進するうえで、活用できるあなたの職務経験を、具体的な事例を挙げたうえで、事実に即して述べるとともに、その職務経験を活かし、あなたがどのように川崎市に貢献できるのかを、併せて述べてください。
川崎市経験小論文試験過去の課題(https://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/61-1-26-9-0-0-0-0-0-0.html)
例年、行政の一般的なテーマについて、あなたの経験をどう生かせるのかを述べるよう求められています。
テーマに対する解釈と、あなたの経験、そしてそれをどう生かすのか、1,200字以内にコンパクトにまとめる必要があります。
一見難しそうですが、中途採用は他の受験者の記述レベルがそこまで高くないので、「落ちない」文章を書ければ大成功です。
では、どうすればいいのかというと、過去問と解答をインプットしまくる。これに尽きます。
「過去問を制する者が、試験を制する」というのが公務員試験の鉄則なので、過去問と解答をかき集めるのが合格への近道です。
わたしが経験者採用に合格できたのは、とにかく過去問と解答を読みまくって本番慣れしてたからだと思います。
過去問と解答を見れば、書き方の「リズム」が染みつくので、本番でも「ああ、こうやって書けばいいんだな」とスラスラと解答できるようになります。
記述問題は試験本番のコンディションに左右されて不安定になりがちですが、過去問の解答で「リズム」をバッチリ身に着けることで安定して書けるようになりますよ!
個別面談(行政事務のみ)
行政事務のみ、個別面談も行われます。
それ以外の職種(社会福祉、土木、電気、機械、建築)に個別面接はありません。
机を挟んだ対話形式(2対1)の個別面談を行い、人物的な側面、仕事に対する意欲・適性、コミュニケーション能力などを評価します。
時間は20分なので、かなり手短な面談です。
川崎市公式は面談試験について、次のとおり述べています。
「面談試験」とは、面接試験と比べて(1)試験官の年齢が比較的若く、(2)受験者と試験官の距離が近い対話形式の面接で、リラックスした雰囲気のもと、受験者の過度な緊張を抑え、良いところを自然体でアピールしていただくことをねらいとして実施しています。
採用情報 – 川崎市:職員採用特設サイト(https://www.city.kawasaki.jp/940/cmsfiles/contents/0000147/147859/recruiting/index.html#flow)
第1次試験科目として実施するため、筆記試験で実力が発揮できなくても、川崎市政への意欲、コミュニケーション能力、チャレンジ精神など、皆さんの良いところをアピールしていただくことにより挽回することが可能な「人物重視」の試験となっています。
いわゆる「ヤバイやつを落とす」目的と、筆記試験では力が発揮できなかったけれども優秀な人材を採りたいという目的があります。
あまり不安にならず自信をもって臨めば問題ありません。
最低限、川崎市が公表している代表的な施策については目を通しておきましょう!
川崎市役所経験者採用2次試験の傾向と対策
個別面接(3 対 1)を行い、人物的な側面、仕事に対する意欲・適性、コミュニケーション能力などを評価します。
これに加え、1次試験の時に行った論文の点数を合算して2次試験の合否が決まります。
これに合格すれば晴れて合格内定!
面接は公務員試験でありがちな質問を一通り押さえておけば、大きく崩れることはありません。
さらに、コツさえつかめば論文は安定するので、論文で点数を稼ぐという戦略もとることができます。
面接の秘訣
さて、重要な面接ですが攻略の秘訣があります。
それは、あなたが「川崎市が求める職員像」と合致していることをアピールすることです。
なぜならば、公務員組織は「公表している事柄」についてかなりキッチリ忠実に実行しなければならないからです。
説明責任があるからですね
人事採用でも例外ではなく、公表している「求める人材像」は人事担当者に強くインプットされており、「求める人材像」に沿って忠実に採用をします。
このように「求める職員像」は知っているだけで切り札になるほど重要な情報なのに、社会人採用試験の場合、ほとんどの受験者は把握していません。
したがって、これを知っているだけで多くの受験者を軽々追い抜くことができます。
さて、川崎市が求める職員像ですが、実は募集要項の下にこっそりと書かれています。
募集要項をじっくり読まないと気づかないと思います笑
これらは非常に重要なので、必ず覚えておいてください。
暗唱できるレベルまで染みつけば面接は勝ったも同然です。
面接では上記の能力を発揮した経験を述べることで「求められる職員像」ということをアピールできるので大きな評価に繋がります。
すべての回答で上記を意識してください。
求められる職員像から逆算して面接を組み立てるのは公務員試験の定石ですので、ぜひともここで学んだ内容を活かしてライバルを追い抜いてください!
これに加えて、公務員試験でありがちな質問を一通り押さえておけば完璧です!
予備校に通う必要はあるか?
結論から言うと、予備校は必要ありません。
実際に、中途採用に合格した私の友人や知り合いの中で、予備校に通っていた人はいません。
理由としては、「予備校よりも優れた教材が市販されている」こと、「仕事をしながら予備校に通うのは時間の無駄」であることが挙げられます。
予備校はどうしても自社オリジナルのテキストを使わなければなりませんが、昨今は書籍やnoteなど市販の教材のほうがクオリティが高いです。
また、中途採用は仕事をしながら勉強することが多いと思いますので、わざわざ予備校に通って授業を受けるのは非常に手間です。
予備校のメリットである「わからないことを聞ける」というのも、今ではインターネットで調べればほとんど解決します。
かく言う私も予備校に通わず合格できましたので、自信をもって予備校はいらないと断言できます。
(あと、あまり大きな声では言えませんが、経験者採用の予備校は教材のクオリティがあまりにも低いです。。)
川崎市役所経験者採用のまとめ
川崎市は発展著しいまちなので、非常にやりがいがあると思います。
政令指定都市なので社会的信用が高く、生涯にわたって安定した生活ができます。
倍率がやや高いように見えますが、多くの受験者は付け焼き刃の対策で挑んできます。
この記事で少しでも論文や面接のコツを掴めたのならば、それだけで大きなリードです。
最後に、合格まで王道パターンをまとめます。
- 教養試験は「過去問350」(余裕があれば「過去問500」)を解いて感覚をつかみ、市販の参考書で補強する
- 論文試験は「過去問と解答集」で型を身に着ける
- 面接試験は「求められる職員像」をインプットして臨む
自信を持っておすすめできる自治体なので、ぜひトライしてみてください!
それでは、あなたの合格と幸せな未来を願っています!