公務員から公務員へ転職するのはアリ?採用側が語る裏側とは

公務員へ転職

公務員として働いているけれども、なにかしっくりこない。雰囲気が合わない・・・

 

転職したいけど、やっぱり公務員が安心だから次も公務員がいい

 

という方、実は結構いらっしゃいます。ただ、公務員から公務員へ転職することについてさまざまな不安があるようです。

私もこの件についてよく相談されますが、

「採用で不利になるのではないか?」

「転職活動がバレるのではないか?」

といった不安が多い印象です。

今回はそんな方のために、実際に公務員から公務員への転職を経験した方と、採用に携わった方の話をもとに、アドバイスを送ります!

公務員から公務員への転職はアリ?

いきなり結論ですが、公務員から公務員への転職は完全にアリです。

ごく当たり前に行われています。法律で禁止されているわけでもないので、全く問題ありません。

転職師範
転職師範

とくに大規模自治体では、公務員から公務員へ転職者はかなりいます

国家公務員から市役所、市役所から区役所、市役所から県庁などなど転職のケースも様々です。

そして、転職の理由も様々です。

私の周りの例を挙げると、こんなものがありました。

  • 国家公務員として働いていたが、仕事がキツすぎるから区役所に転職したい!
  • 市役所で働いていたが、もっとスケールが大きい仕事をしたいから県庁に転職したい!
  • 都庁で働いていたが、もっと住民の近くで仕事がしたいから区役所に転職したい!
  • ○○市役所で働いていたが、旦那の会社の転勤先にある□□市役所に転職したい!

これ以外にも、

今の職場でケースワーカー配属になって、嫌だったから別の自治体に転職したい。

というツワモノや、

市役所が抱えている問題を管轄である県庁に訴えてもまったく解決してくれない。だから、自分が変えてやるために県庁に転職した。

というスーパー公務員もいます。

このように公務員から公務員へ転職した動機は様々で、事例もたくさんありますので、できないということはまったくありません。

 

公務員から公務員へ転職を考える人が抱える不安を解消!

とはいえ、公務員から公務員へ転職するには何かと不安があるなぁ

実際の採用に携わっている方や、公務員から公務員への転職経験者から本音を聞く機会がありましたので、その話からあなたの不安を解消していきたいと思います。

採用時の印象は悪くならないか・・・?

実際に転職を経験した方たちは、

公務員から公務員へ転職することについて、採用時に悪い印象を持たれるんじゃないか?

ということが最も心配だったといいます。

確かに、今まで公務員として働いていたのに、また別の公務員に転職したいというのは、あまりいい印象を持たれないように感じてしまいます。

しかしこれ、次の要点をしっかりと押さえておけば、採用する側にとってまったく気になりません。

その要点とは、「前職を辞める理由が、転職先には存在しないこと」です。

というのも、民間でも公務員でも転職者採用のとき採用側が気にすることは、

前職と転職先が似た環境ならば、同じ理由でまた辞めてしまうのではないか?

という点です。公務員組織は似た点が多いので、転職先も同じような環境であることは十分あり得ます。

しかし、前職を辞めた理由が転職先には無いと言えるならば問題ありません。

例えば、「より住民の近くで働きたい」という理由で国家公務員から市区町村に転職したいということでしたら、転職理由としては完璧です。

逆に、「国家公務員としてはたらいていたが、仕事が多くてキツイから市区町村に転職したい。ワークライフバランスを確保したい。」という理由では、市区町村でも部署によっては物凄く忙しいところもありますのでNGです。

なるほど、転職理由が大事ってことだね!

また、家庭の事情が理由ならば正直に話して問題ありません。

たとえば「夫の転勤に合わせて○○市に引っ越したが、ここでも公務員としての経験を活かして市政に携わりたい。」「親の介護を行うために地元に引っ越したが、地元でも公務員としてはたらきたい。」といった理由ならば、納得がいきます。

このように、違和感の無い転職理由が話せれば、前職が公務員だろうとなんだろうと一切問題ありません。

 

注意したいのが、同じレイヤー間で転職する場合です。

例えば市区町村から市区町村へ転職する場合や、都道府県から都道府県に転職する場合です。

同じレイヤーの公務員組織は同じような組織構造になっているケースがほとんどです。仕事内容や雰囲気も似ています。

したがって、転職理由によっては違和感を持たれるかもしれません。かといって嘘の理由を話すのも、見抜かれた時のリスクが大きいです。

そこで、サブの転職理由を話すという解決策がおすすめです。

たいていの場合、転職理由は1つではないと思います。複数の要因が積み重なったものでしょう。

もしメインの転職理由が「残業が多すぎる」だったとしてもそれ以外に「もっと住民の近くではたらきたい!」といった理由もあれば、そちらを話せばいいのです。

嘘をつかず、スマートに切り返せる非常におすすめの方法です!

  

転職先も公務員だから、内部で転職活動がバレるのでは?

これも多い質問ですが結論から言うと、バレません。安心してください。

なぜならば、公務員の採用試験では受験者のプライバシーが非常に固く守られているからです。

受験者の個人情報は採用部門以外では使用されません。

また、公務員として働いた経験がある方はご存知かも知れませんが、公務員組織は非常に縦割り仕事です。隣の部署が何をしているのか分からないなんてことは当たり前です笑

良く言えば、分業がはっきりと成されています。したがって、仮にあなたが転職希望先の官公庁や自治体と強い関わりがあったとしても人事部門にはその情報は入りません。

それなら安心だ!

もう少し具体的な例を挙げます。あなたが今都庁にいて、ある区への転職を考えているとします。都庁の職員としてその区と一緒に仕事をしていたとしても、そのことが人事部門にまで伝わることはほぼありません。人事部門は性質上クローズドな組織なので他部門が外部の誰と仕事しているのかまでは知り得ないからです。

逆に人事部門は、前に書いた通り他の部門へ受験者の情報を伝えることはしません。

ただし、面接等で今まで転職先と関わる仕事をしたことがあるか聞かれる場合はあります。その質問の意図は、コネ採用にならないか?ということを面接側が注意しているだけですので、やましいところが無ければ正直に答えれば問題ありません。

 

市区町村から都道府県・国、都道府県から国への転職は不利?

結論から言うと、不利なケースがあります。

というのも、日本の行政組織は長年の慣習で国がトップ、その下に都道府県、その下に市区町村といった序列を未だに重んじる風潮があるからです。

近年は地方自治を推進する動きが強まり、住民に最も近い基礎自治体こそ最も重要な機関だという論調が強いです。また、就職先としての人気も基礎自治体の方が高い傾向があります。

しかしそれでも公務員組織内にはまだまだ国こそトップで都道府県、市区町村がそれに続くという考えを持つ方もいます。

えぇ、古くさくない!?

転職師範
転職師範

残念ながら一部では根強い価値観です・・・

地方交付税交付金など国が配るお金が重要な財源である自治体が多く、それが上下関係のような雰囲気を作ってしまっているというのも一因です。

また、上の省庁や自治体のほうが法律や政令といった強いきまりを定めることができます。この範囲内でそれ以下の自治体は仕事をしなければならないので、どうしても上下関係のような構図ができてしまうのです。

厄介なことに、働く職員の中にもそういった上下関係が芽生えがちです。

本来であれば採用する者は公平な観点からの評価が求められます。しかし、上下関係の考えがある者が採用側にいる場合、市区町村から都道府県や国、都道府県から国へ転職する際は、少し評価が厳しくなります。

逆に、国から都道府県・市区町村、都道府県から市区町村への転職は若干評価が甘くなる場合があるそうです。

ただ、多くの場合は偏見なく公平な視点で採用するはずなので、こんなケースもあり得るんだという程度に心に留めておいてください。 

公務員から公務員へ転職は、民間からの転職者より有利なケースが多い

経験上、公務員経験者は民間からの転職者より有利な場合が多いです。

それは、次の理由からです。

即戦力が欲しい

職員を採用する最大の理由は人手が足りないことです。人が足りていればそもそも採用を行う必要がありません。

そして、採用するならばできるだけ仕事ができる職員を採用したいというのが本音です。

公務員の仕事というのは法令解釈や決裁、超縦割り組織といった独特な文化があり、その中で仕事をこなすスキルも求められます。これらは民間企業や学校では身に着けることができず、慣れるまでに数年はかかります。

そこで、既に公務員経験があり、こういった文化に慣れている人を採用することで、即戦力として働いてもらいたいという思いが採用側にはあります。

したがって、公務員経験者は、経歴としてプラスになることが多いです。

その証拠に、公務員経験がある転職者には基本給を通常より多く加算するところさえあります。

これは嬉しい♪

 

他自治体、他官公庁を知る人が欲しい

公務員として働いたことがある方は分かると思いますが、自分たちの以外の他の自治体や官公庁について、どんな仕事をしているのか、あまり分からないものです。

それにも関わらず、官公庁間、自治体間連携が強く求められており、その手の仕事を任せられると大変苦労するものです。他の官公庁からの調査依頼が、現状に即していないものだったり、的外れな聞き方だったりすることはよくあります。

そういったことを解消するために、県から市へ人員を派遣したり、市から国へ人員を派遣したりといった試みがなされています。

派遣された職員は、貴重な橋渡し役として期待されます。

たしかに、国に出向した同期や先輩がいたなぁ

実はその延長で他の官公庁や自治体の職員を積極的に採用する動きがあります。どこの組織も、他の自治体や官公庁の動向や内部についてかなり興味を持っていますので、それを知りつつ、公務員仕事のお作法も分かる人材は貴重なのです。

公務員から公務員へ転職するなら、受験資格には注意!

自治体の経験者採用では、公務員としての職歴を対象外にしているところが多いです。

つまり、公務員として長年働いていたとしても、その職歴は無視されるので受験資格がない可能性すらでてきます。

その点、特別区や横浜市は公務員としての職歴も認めていますので公務員から公務員へ転職先として非常に有望です。

とりわけ特別区は試験日が早いので、練習として使うこともできます。

 

公務員から公務員へ転職するのは正解!

これまで見てきた通り、公務員から公務員への転職は当たり前のように行われており、採用試験での不利はまったくありません。

むしろ有利にはたらく場合の方が多いかもしれません。

意外と当たり前のように公務員から公務員へ転職は行われていますので、ぜひチャレンジしてみてください!