
中途採用って倍率が高くて難しいでしょ?ましてや東京都庁なんてエリートしか・・・
多くの方はそう思います。
しかし、東京都庁経験者採用が、実はとても低いことをご存知でしょうか?
政令指定都市や都道府県庁の倍率は20~40倍にも上る一方、東京都庁は驚くほど低倍率が続いています。(参考までに、令和7年度のさいたま市社会人経験者事務職採用は倍率33.6倍でした)
実際に過去の倍率を見てみましょう。
ほとんどの自治体はそもそも中途採用枠がありませんが、都庁は毎年大量に中途採用を行っています。そのため、大変人気であるにも関わらず、低倍率の売り手市場が続いています。
都庁キャリア採用(中途採用)は存在が知れ渡っていないため、公務員への転職希望者にとって最高の穴場となっています。
今回はそんな、東京都庁キャリア採用試験の内容と対策について徹底解説します!
これを読めば他の受験者と大差をつけることができると思います。
【大前提】東京都庁の社会人経験者採用は2種類ある!
令和6年度から東京都庁の社会人経験者採用は大きく変わりました。
今までは「キャリア採用」という専門的な経験・知識がある人だけの枠しかなかったのですが、令和6年度からはどんな経験でも受験できる「経験者採用」枠が増えました!
しかも、経験者採用枠は年間4回も行われるので受験タイミングを調整しやすいです。
「キャリア採用」も「経験者採用」、どちらも62歳未満で受験でき、学歴不問です。
違いをまとめてみました。
ザックリ言うと、「キャリア採用」のほうが受験する難易度が高い代わりに倍率が低いです。
一方で、「経験者採用」は受験しやすいですが、倍率が高いです。

ちなみに、併願できます。
ですので、もし「キャリア採用」の受験資格を満たしていれば、「経験者採用」も併願するのがオススメです。
なお本記事では、「経験者採用」の一般的な公務員である【事務】採用について解説していきます。
※「キャリア採用」はこちらの記事で解説しています。
東京都庁経験者採用の受験資格は非常にシンプル

中途採用は何かと条件が厳しいことが多いですが、東京都庁経験者採用の場合は満たすべき受験資格はたった2つです。※「禁錮中ではない」など当たり前の要件は除く
次のすべてを満たすこと。
- 61歳以下
- 応募職種の職務経験が以下の通り
- 主任
院修了…5年以上
大卒…7年以上
短大卒…9年以上
高卒 …11年以上 - 主事
院修了…3年以上
大卒…4年以上
短大卒…6年以上
高卒 …8年以上
- 主任
職務経験は6ヵ月以上の職歴を合わせて満たせればOKです。
たとえば大卒で「主事」を受験する場合、新卒で入った会社に1年、転職して次の会社に2年6カ月、さらに転職してその会社に6ヵ月勤めていたら、「1年+2.5年+0.5年=4年」なので受験できます。
東京都庁経験者採用では「本庁」と「事業所」を選んでから申し込む
東京都庁はとにかく色々な業務があるので、「本庁」と「事業所」に分けて業務を担当しています。
「本庁」はいわゆる一般的な公務員がやるような仕事を行います。一方で「事業所」は専門性が高い仕事を行います。
区分 | 主な業務内容・配属先 |
---|---|
本庁 | 各局等の本庁における企画・調整、予算・財務、人事・労務、文書・法務、指導・監督な どの一般事務 |
事業所 | 1 都税事務所 ・事務所における人事・給与、福利厚生、経理・契約などの業務 ・各地域における都税の課税、徴収などの業務 2 建設事務所 ・事務所における人事・給与、福利厚生、経理・契約などの業務 ・各地域における事業用地の取得、道路・河川の占用許可などの業務 3 学 校(※) ・各学校における人事・給与、福利厚生、経理・契約、学事などの業務 など |
東京都経験者採用では、申込のときに「本庁」と「事業所」のどちらを希望するのか聞かれます。
ただし、これはあくまでもアンケートのようなものです。合否に影響せず、答えた通りの配属になることは確約されません。
ただ、東京都庁としては即戦力を期待しているので、職務経験を生かせそうな仕事があるほうを選ぶのが無難と言えます。
東京都庁経験者採用の初任給
初任給はここ数年で大幅に上がりました。目安として以下の通り示されています。
経歴 | 初任給 |
---|---|
事務級採用 | 約 293,400 円 |
主任級職採用 | 約 320,200 円 |
課長代理級職採用 | 約 363,100 円 |
この他にも、扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当(ボーナス)などの手当制度が充実しています。

さらに、東京都庁職員だけが使える優待がとんでもない量ありますので、東京都庁職員になったら使い倒してください!
東京都庁経験者採用の試験スケジュール

東京都庁経験者採用は、年度に4回も募集があります。申し込み開始時期が、4月、6月、9月、12月の4回です。

ただし、同じ年度に複数回うけることはできません!
例年のスケジュールを見てみましょう。タブ切り替えでそれぞれのスケジュールを確認できます。
- 第1期
- 第2期
- 第3期
- 第4期
- 4月下旬~
6月初旬受験申込期間・原則インターネット申込。
・「職務経歴書」「エントリーシート」を電子提出する。
・期間が短いので注意!最終日は15時まで受信有効なので注意! - 6月中旬~末1次試験
試験 内容 書類選考 申込時の書類で選考 SPI3 テストセンター式 - 7月中旬1次試験合格発表
- 7月下旬~
8月初旬2次試験面接2回
- 8月中旬最終合格発表
- 8月下旬(成績優秀者のみ)課長代理選考
面接1回
- 9月初旬課長代理選考結果発表
- 10/1採用予定日
- 6月下旬~
9月初旬受験申込期間・原則インターネット申込。
・「職務経歴書」「エントリーシート」を電子提出する。
・期間が短いので注意!最終日は15時まで受信有効なので注意! - 9月中旬~末1次試験
試験 内容 書類選考 申込時の書類で選考 SPI3 テストセンター式 - 10月初旬1次試験合格発表
- 10月中旬2次試験
面接2回
- 10月下旬最終合格発表
- 11月初旬(成績優秀者のみ)課長代理選考
面接1回
- 11月中旬課長代理選考結果発表
- 1/1採用予定日
- 9月下旬~
11月下旬受験申込期間・原則インターネット申込。
・「職務経歴書」「エントリーシート」を電子提出する。
・期間が短いので注意!最終日は15時まで受信有効なので注意! - 12月初~中旬1次試験
試験 内容 書類選考 申込時の書類で選考 SPI3 テストセンター式 - 12月下旬1次試験合格発表
- 1月中旬2次試験
面接2回
- 1月下旬最終合格発表
- 2月初旬(成績優秀者のみ)課長代理選考
面接1回
- 2月中旬課長代理選考結果発表
- 4/1採用予定日
- 12月下旬~
2月下旬受験申込期間・原則インターネット申込。
・「職務経歴書」「エントリーシート」を電子提出する。
・期間が短いので注意!最終日は15時まで受信有効なので注意! - 3月初~中旬1次試験
試験 内容 書類選考 申込時の書類で選考 SPI3 テストセンター式 - 4月初旬1次試験合格発表
- 4月下旬2次試験
面接2回
- 5月中旬最終合格発表
- 5月下旬(成績優秀者のみ)課長代理選考
面接1回
- 6月初旬課長代理選考結果発表
- 7/1採用予定日
いずれも、約半年の勝負となります。

長丁場ですが、意外とあっと言う間です!
東京都庁経験者採用の倍率
東京都庁経験者採用は令和6年度から始まった試験なのでまだ倍率が公表されておりません。

倍率が公表され次第、ここに掲載します!
ただ、実際に受験した人と会話した感覚だと約3~4倍とのことでした。
キャリア採用よりは倍率が高いものの、圧倒的に少ない対策で済むので東京都経験者採用はかなりお買い得だと思います。
東京都庁経験者採用の第1次試験の傾向と対策

第1次試験の内容は次の通りです。
- 書類選考(職務経歴書、エントリーシート)
- 適性検査(SPI3)
SPI3は対策しやすいので何とかなるのですが、書類選考が大きな関門です。
ですので、職務経歴書、エントリーシートをバッチリと作りこむのが合格へのカギになります。
おまけに、1次試験の成績は2次試験まで持ち越せます。

2次試験の合否は1次試験の成績と2次試験の成績を合算して決まるからです。
つまり、面接が苦手な人でも1次試験で大きく貯金できるということです。
では実際に1次試験はどんな内容なのか見ていきましょう!
書類選考
東京都庁経験者採用では申し込み段階で「職務経歴書」と「エントリーシート」を書いて提出しなければいけません。
ただの履歴書かと思いきや、専門性を発揮した経験や志望理由、自己PRなども書く必要があります。かなり盛りだくさんです。
東京都庁経験者採用では、受験申込期間が約2カ月もありますが、恐らく書類を丹念に作ってきて欲しいというメッセージでしょう。
ちなみに、書類に書いた内容が面接試験で使われますので、直前に慌てて作ったものだと、面接の際に非常に困ります。
したがって、面接を見据えた戦略的な内容を余裕をもって仕上げることが重要です。
注意点は以下の通りです。
- 提出後の差し替えはできない
- 返却されないので、必ずコピーを取っておくこと
- 面接(2次試験、3次試験)の参考書類として使われる
また、主任級として応募するならば、即戦力であることをアピールすることがコツです。
なぜならば、「主任」は実務のエース職だからです。
通常ならば昇任試験に合格しなければ就けない職であり、実務に数年携わった職員でなければ主任になることはできません。
したがって、「主任」レベルの即戦力をアピールすることが必要です。
一方で、主事級で応募するならば、そこまでの即戦力性は求められませんが、「東京都への熱い思い」と「どのように貢献できるか?」は当然問われます。その点を強く意識して書くと評価につながります。
このように、書くことが多い上に、1次試験の点数にも響くので東京都庁経験者採用では、書類選考が最も難関だと言われております。
一見難しそうですが、中途採用は他の受験者の記述レベルがそこまで高くないので、「落ちない」文章を書ければ大成功です
では、どうすればいいのかというと、「答え」をあらかじめ知っておくことが何より重要です。

非常に重要なことなので、これから話すことだけでも覚えてください!
書類に書く経験には「答え」が無いように思えます。
しかし、実際は「試験」なので、自治体が求める「答え」があります。
つまり、その「答え」を知ってから書けば、落ちることは無い、ということです。
しかしながら、多くの人は「最も自信がある強み・経験」を論文でアピールしてしまいます。
自治体としては、「そんな強み・経験は別にいらないんだけどなあ・・・」となることが多いので、残念な結果に終わった人を多々見てきました。
イメージとしてはこんな感じです。

ですので、まず「自治体が求める強み・経験」を知ったうえで、それに沿ったあなたの強み・経験をアピールしなければ、かなり危険です。
具体的な対策としては、こちらの記事が非常にわかりやすいので非常にオススメです。ESだけではなく、論文、プレゼンテーションと面接、さらには自治体の課題と解決策まで全部網羅されている優れものです。

経験者採用のバイブルとして有名ですが、旧版は私もお世話になりました。とにかく分かりやすかったです!

正直、これがないと合格はできなかったと思います。
適性検査(SPI3)
1次試験の2つ目はSPIⅢです。あなたも就活の時にやったことがあるのではないでしょうか?
こんな感じのテストです。
AからEの文を[1]から[5]に入れて文の意味が通るようにしたとき、[2]に当てはまるものを選びなさい。
ウイルスと細菌は[1][2][3][4][5]代謝などの生命活動を行わない。
A 細菌は一つの細胞でできており
B ウイルスは細菌の50分の1ほどの大きさで
C 単細胞生物と呼ばれるのに対し
D 自分で細胞を持たず
E どちらも微生物だが
出典:https://spi.careermine.jp/gengo/sort-sentences/questions/g_question_japanese_rearrange_3

ちょっと頭を使うアレです
テストセンターを自分で予約して、テストセンター会場で受験します。
ですので、東京都だけではなく、全国どこからでも受験することができます。
SPIⅢは能力検査70分と、性格検査35分の2本立てが一般的で、東京都庁経験者採用ではどちらもやります。ただし、性格検査は合否に関係ないです。配属先の決定に使われるのだと推察されます。
出題数は約70問で、言語40問、非言語30問の構成が多いです。
ですので、1問につき1分で回答しなければなりません。
とにかく時間との勝負です。
問題自体はそこまで難しくないので、対策せずに合格できた!という人もいますが、個人的には少しでも対策しておくのが安心だと思います。
対策方法としては、問題集は1冊を2周程度やることをオススメします。
ちなみに参考書は必ず本屋で現物をめくりながら選んでください。
公務員試験は参考書によって「合う」「合わない」がとても大きいので、現物をみることが重要です。
私は最初、Amazonで高評価だった問題集を買って勉強していましたが、どうも合わなくて結局、本屋で中身を見ながら選んだ問題集に乗り換えました。
結果、スラスラと理解できるようになり、試験でもいい点数を取ることができました。
ですので、ネットのレビューや評価ではなく、自分の目で確かめることが重要です。

合わない参考書を使うのは、時間の無駄ですからね!
東京都庁経験者採用の第2次試験の傾向と対策
2次試験は個別面接を2回行います。どちらも都内で実施されます。
主に「職務経験」と「専門知識」、そして「人物」の3点が問われます。
1回目は「職務経験」と「専門知識」、2回目が「人物」を中心に問われるケースが多いようです。
注意したいのが、受験申込時に提出した「職務経歴書」「エントリーシート」と矛盾が無いようにすることです。

矛盾があると大きなマイナスですよ!
コツは、現実的な貢献を納得感をもって伝えることです。
採用面接では、つい大きなことを語ってしまいがちですが、行政の採用面接の場合は、「本当にできるのか?」が強く問われます。
「あれもできます、これもできます」よりも、「これまでの経験から、これは着実にできます。一方で、これはまだ未経験なので勉強します」といったスタンスの方が好まれます。
なお、2次試験の合否は1次試験の成績を合わせた総合点です。
したがって、面接が苦手でも得意でも、1次試験の成績次第で逆転が起きます。
また、都政についての質問も対策が必要です。
ネタ元である都政のビジョン、都の基本計画は必ず一読してください。
都政の憲法ともいえる計画なので、これを知っていることを前提に面接が進みます。
東京都庁経験者採用まとめ
東京都庁といえば誰もが憧れるエリートなので、社会的信用が非常に高い職です。
また、数ある経験者採用のなかでも、東京都庁経験者採用はまだ始まったばかりで知名度が低いので、倍率も低めだと思われます。

まだ知れ渡っていない、いまが大チャンスです!
この記事で少しでも論文や面接のコツを掴めたのならば、それだけで大きなリードです。
最後に、合格までの王道パターンをまとめます。
結論、この2つがあれば十分合格できる試験です。
- 経験者採用のバイブル「合格手順書」を読んで、エントリーシート、職務経歴書、面接を完璧にする
- SPIは市販の参考書をしっかりと吟味し、あなたに適したもので対策する
自信を持っておすすめできる自治体なので、ぜひトライしてみてください!
それでは、あなたの合格と幸せな未来を願っています!
